ワイナリー巡り~ボルドー編#5~Château d'Yquem

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世界の貴腐ワインのうちの最高峰といわれる、ソーテルヌ地区にあるシャトー・ディケム を訪れました。


ボルドーの市街地から南東へ40キロほど、アキテーヌ地方ジロンド県ソーテルヌ村にあるリュル=サリュース家所有のシャトーです。

1999年からはLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループ傘下となっています。



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貴腐ワインとは、葡萄の果皮にボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌がつき、菌が果皮を破り果実の水分を蒸発させ、結果葡萄の糖分が凝縮され、その糖度の高い葡萄から造られるワインのことです。

葡萄に貴腐菌が付着するには、霧が発生し湿気の多いという気象条件がそろわなければいけません。



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ソーテルヌ地区は、水温の低いシロン川から大河のガロンヌ川(こちらのが温かい)に流れ込む温度差により霧が発生しやすい地域で、貴腐葡萄を造るのに最適な土地なのです。

収穫は貴腐状態になっているか一粒一粒確認しながらの手作業で、果実の水分が少なくなっているために1本の葡萄の樹からグラス1杯分のワインしか造れないといわれています。

すごいですね~



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訪れた時期はまだまだ暑い時期でしたので、葡萄の貴腐化はほとんど始まっていませんでした。




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一部貴腐になっているのもありましたけど。

食べてみたら、すんごい甘かった!

貴腐ワインの葡萄はセミヨンがほとんどで、セミョン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%で造られているそうです。




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シャトー・ディケムは、1855年の格付けで唯一、最高位である特別第一級(Premier Cru Superieur)に指定されたシャトーです。


面積は100haほどで、毎年6万3千~7万本程度の生産とのこと。
葡萄は粒単位で丹念に手作業で選別され、オークの新樽で3年熟成された後に瓶詰めされるそうです。

完熟した貴腐果粒だけを摘むという特殊な摘果方法のため、貴腐化がうまくいかなかった年には生産されないこともあり、1930,51,52,64,72,74年などは造られなかったといいます。
20世紀で9ヴィンテージ欠番って言ってたかな。

完璧主義ですね。さすが世界最高峰です。

ちなみに良いヴィンテージのものは熟成に20年以上かかるいわれています。
中には100年以上といわれるものも。

わお。
生きているうちに飲めないw




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ちなみに貴腐ワインができたのは偶然というエピソードがあるんですよ。

シャトーの主であるサリュース伯爵がロシアに狩りに行っていて収穫期にシャトーへ帰れなくなったそうです。

当時は収穫するには領主の公示が必要だったそうで、公示できずに収穫できずにいたら葡萄はカビだらけ。

伯爵が戻られてから仕方なくカビだらけのブドウをワインにするほかなかったそうです。

そして10年後。

ロシア皇帝の弟にあたるコンスタンティン公がシャトーを訪問した時に、収穫が遅れてしまったために別樽で造ったこのワインを賞味したところ、信じられないほど甘い美味しいワインができていたというお話。


格付けから4年後の1859年にディケムは貴腐ワイン造リに専念したそうです。

なお、ボトリティス・シネレア(貴腐菌)の発見は19世紀とのことなので、ちょうど論理的に貴腐ワインができる仕組みがわかった頃ですね。




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さて醸造所の中へ。

広報のアンさんが熱心に説明してくれました。
アンさん、まだ暑い時期でしたが革のジャケットを羽織られて、とっても素敵でした。おしゃれさん。

ちなみに手前にいらっしゃるのは滞在中お世話になった通訳のMさんです。




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この説明中、わたくし、こちらを訪れる前に行ったソーテルヌ村のオーヴェルジュでのランチでちょっと気分が悪くなってしまい、立ったまま説明を聞いているのがかなり辛くて、一生懸命お話してくださいましたが、あまり覚えていないという残念な事態に・・・

あーあ、もったいない(涙)

このディケムとシュヴァルブランが、今回の私的シャトー巡りの目玉だったんですけどね。

連日ワインを飲まなければいけない状況と暑さと寝不足が敗因。

う~ん、残念。



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熟成庫も「あ~あ、きれいだなあ」と思うのと同時に「早く座らせてくれ」とも思っていたので、やっぱりあまり記憶にないw



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ようやく修行のような説明を聞き終え、「ではテイスティングルームへ参りましょう」と言われたときには心底ほっとしました。




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あまり熱心に聞くことはできませんでしたが、醸造所内の造りがトンガっていて、家庭的だとかフレンドリーというのとはまったく違う洗練されたところだなぁと思いながら眺めてました。

造りが本当に本当に本当にセンス良くてかっこいい。

ピーーーーンと糸が張っているような緊張感あるセンス良さ。

で、この感じを後日訪れたシュヴァルブランでも感じたのですが、同じLVMHグループ所有からくるセンスなんだなと、今になって思います。

センスとはこういうものだという、世界のファッション界をリードしている気概のようなものを感じます。

本当に素敵でした。




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で、ようやくテイスティングルームだぁ~、座れる~(嬉泣)と思ったらっ!

なんと!

カウンターしかないじゃないですか!!

椅子がどこにもなーーーーーーい。

そんなで、「ディケムといえば椅子がない」で強烈にインプットされていますw

テイスティングルームもトンガってました(苦笑)




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ま、気を取り直してテイスティングを。

本当は飲むのも辛かったんだけど、シャトー・ディケムを飲む機会はそうそうないと思うと、やっぱりがんばってしまうものです。



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グラスにもディケムのロゴが。欲しい、このグラス。




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テイスティングルームの入り口は、今まで生産された年のコルクの刻印が、茶色からオレンジ、黄色へとグラデーションするライトで美しくディスプレイされていました。




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で、やっぱりみなさん自分の生まれ年探しますよね:)




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私の生まれ年もありました♪

欠番の年じゃなくてよかった:)

しかしこのディスプレイ、写真でみてもやっぱりカッコいいですねぇ~




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シャトー・ディケムではテイスティングは1種類(!)

気前よく開けてくれたドフィーヌなどとはやっぱり違います。

新興シャトーと一緒にしないでって言われそうですが(笑)

この日に飲んだのは2005年ヴィンテージ。

まだまだ若い!って感じでした。でもふくよかな甘さの中にきりっとしたシャープさも感じられ、ちょっと他ではない感じだなと。

貴腐ワインって甘いだけじゃなく酸も相当強いんですよね。

それがとてもよく感じられて、ベタベタした甘さじゃないのはさすがだなと思わせるワインでした。

あー、100年くらい経って酸がもっと溶け込んだシャトー・ディケム、飲んでみたいですね~:9

そんな機会はあるのかしら。



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さて、あまり気分が優れなかったので1杯でちょうどよかったかもと思いながら外へ出てみると、変な雲が出てました。

稲妻みたいに縦に走ってますね。



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稲妻雲とシャトー・ディケムをみながら、さようなら。

世界一の貴腐ワインのシャトーは、とってもおしゃれな洗練されたシャトーでした。






BGM♪ Nat King Cole / Stardust

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